行先方向幕で遊ぶ |
【概要】
日本国有鉄道12系客車に搭載された自動字幕式行先表示器の動作を再現するものです。
現在この種の行先表示はLEDディスプレイで1発表示されますが、この時代は予め行先が記入されたフィルムを巻いて表示しました。
12系客車は昭和45(1970)年大阪万博輸送と繁忙期長距離臨時列車に使用することを目的としていたため、70コマの大容量に日本中の主要駅が記入されていました。昭和40年代後半〜60年代の始発・終着駅では表示を変えるために延々と巻きとる姿がよく見られ、流れゆく駅名が旅情や遠方の地を線で結ぶ鉄道網の魅力を引き立てたものです。
そんな想い出の縁になればと思い作成しました。
【遊び方】
「表示」 現在表示している行先コマの番号です。
「設定」 表示変更する変更先を設定します。標準設定値は01〜70です。
行先表示が止まっているとき、各桁上下のボタンを押すと設定数値が変わります。
なお実物を模して幻の00と71も出せるようにしています。
「起動」 設定器で設定後、このスイッチで表示変更を開始します。
変更中は点灯。変更終了後消灯。
「照明」 日中状態と夜間状態を変更します。表示と関係なく押せば交互に変わります。
まどろっこしいな〜と思っても、ワープや中止の指令はありません。
「字幕式行先表示器」を味わってください。
【表示内容解説】
昭和44 (1969) 年より製造された国鉄12系客車は、波動輸送に動力分散式車両の増備が費用対効果で見合わないという見地から計画がスタートしました。定期昼行優等列車用の電車・気動車がひと揃いした後であり、客車というよりは「無動力モノクラス急行編成」というべきコンセプトで10年ブランクの空いた客車座席車の仕様を大幅に見直しています。
側面自動行先方向幕の採用は視認性向上というメリットの他に、
ターミナルでのサボ(行先表示板)交換人員・時間省略
始発地に実績がない行先でもサボの新規手配が不要
サボの交番を考えなくてよく、閑散期の保管も不要
など波動輸送にまつわる行先表示の諸問題を解決するものでした。
本系列では試作車に28コマが搭載された後、量産車では大容量の70コマが採用されますが、70コマでも所要行先数が不足するのも判っていて、
01〜03 「回送」「試運転」「団体専用」
04〜30 全国共通27コマ
31〜69 「東北 新潟 関東 中部」
「関西 中国 九州」 の2地域に割振
70 「臨時」
という仕様です。
冬季酷寒で車体構造が適さない北海道と無煙化モデル地区(昭和44(1969)年度末達成)で既に大量のディーゼルカーが投入されていた四国は当時航路を挟んだこともあり対象外。
幹線をまんべんなく抑えているように見えますが、年表などと比較すると制定当時動力近代化が遅れていた地域を手厚く拾っており、該当地域のサービス向上を狙った印象があります。
ところが行先表示器に関しては実運用面から見るとまだ検討が甘かったようで、
○車両をかき集めて組成した場合、他地域車が無関係な行先表示
をすることがある。
○該当の行先がなく「回送」から「臨時」や白幕(或いはその逆)
にする場合、端から端まで巻かないと出ない。
○転属や修繕の際に所属地域に注意する必要がある。
○「名古屋」「鳥栖」「福井」といった運転主要駅の指定抜け。
(後補するも、コマ位置バラバラ)
という問題も発生します。
わずか3年後の14系座席車( 昭和47 (1972)年 )では全国統一され、70コマに収まるよう特急車に必要な
ものに整理されますが、12系は元の仕様のままでした。
予備の白幕があまりないため、後年定期列車やジョイフルトレイン・シュプール号などに転用されるように
なると個別に切貼り・書換えが増え、「使うものだけ」にバッサリ作り直したものもあります。
このページでは「東北 新潟 関東 中部」仕様で作成しています。
配列具合からオリジナルは多分64番の「米原」まで、「鳥栖」「糸魚川」「福井」「加賀温泉」は後補かと思われます。但し「東北 新潟 関東 中部」の車両は後補の順序も比較的統一されたようです。「関西 中国 九州」は逆に印刷された金属製の「駅名対照表」が62番の紀伊勝浦までとしたデータがあるのでそれ以降後補で確実ですが、実例はバラエティがあり63番以降の後補順序はいい加減だったようです。
今回このページを作るに当たり実例をある程度調べましたが、細かい差異になると法則がよく判らないのも正直なところです。
○初期のものは小さく「行」が入っていた
○「尻内」は「八戸」に統一されたのか されたのはいつなのか
○「団体」なのか「団体専用」なのか
○文字(特にローマ字)カーニング
○音節によるローマ字表記のハイフン有無
など基準・時系列に疑問点もあります。
厳密なモデルは立てていませんので、雰囲気を楽しんでもらえればと思います。
書体は国鉄方向幕書体に依存させてもらいました。フォント化されていなければとても全部は
作りきれませんでした。ありがとうございます。
なお設定・表示パネルは模擬しても画面上で操作し辛いので、7セグと照光式スイッチの仮想の
ものとしてあります。御了承願います。
【付表 駅名対照表】
12系 東北新潟 関東中部 | 12系 関西中国 九州 | 14系 (参考) |
|
---|---|---|---|
1 | 回 送 | 回 送 | 回 送 |
2 | 試運転 | 試運転 | 試運転 |
3 | 団 体 | 団体専用 | 臨 時 |
4 | 東 京 | 東 京 | 団 体 |
5 | 品 川 | 品 川 | 東 京 |
6 | 京 都 | 京 都 | 品 川 |
7 | 大 阪 | 大 阪 | 静 岡 |
8 | 岡 山 | 岡 山 | 名古屋 |
9 | 広 島 | 広 島 | 京 都 |
10 | 下 関 | 下 関 | 大 阪 |
11 | 門 司 | 門 司 | 新大阪 |
12 | 博 多 | 博 多 | 岡 山 |
13 | 熊 本 | 熊 本 | 広 島 |
14 | 長 崎 | 長 崎 | 下 関 |
15 | 佐世保 | 佐世保 | 門 司 |
16 | 大 分 | 大 分 | 博 多 |
17 | 宮 崎 | 宮 崎 | 鳥 栖 |
18 | 都 城 | 都 城 | 熊 本 |
19 | 西鹿児島 | 西鹿児島 | 西鹿児島 |
20 | 青 森 | 青 森 | 佐世保 |
21 | 秋 田 | 秋 田 | 長 崎 |
22 | 新 潟 | 新 潟 | 大 分 |
23 | 直江津 | 直江津 | 宮 崎 |
24 | 富 山 | 富 山 | 都 城 |
25 | 金 沢 | 金 沢 | 宇 野 |
26 | 長 野 | 長 野 | 鳥 取 |
27 | 松 本 | 松 本 | 倉 吉 |
28 | 黒 姫 | 黒 姫 | 米 子 |
29 | 妙高高原 | 妙高高原 | 出雲市 |
30 | 上 野 | 上 野 | 浜 田 |
31 | 赤 羽 | 新大阪 | 浜 坂 |
32 | 大 宮 | 姫 路 | 新 宮 |
33 | 黒 磯 | 宇 野 | 紀伊勝浦 |
34 | 白 河 | 糸 崎 | 上 野 |
35 | 会津若松 | 徳 山 | 大 宮 |
36 | 福 島 | 小 郡 | 黒 磯 |
37 | 仙 台 | 三 角 | 白 河 |
38 | 小牛田 | 八 代 | 福 島 |
39 | 石 越 | 人 吉 | 仙 台 |
40 | 一ノ関 | 別 府 | 盛 岡 |
41 | 盛 岡 | 南延岡 | 青 森 |
42 | 八 戸 | 福 井 | 山 形 |
43 | 宮 古 | 福知山 | 秋 田 |
44 | 釜 石 | 江 原 | 会津若松 |
45 | 米 沢 | 豊 岡 | 長 野 |
46 | 山 形 | 城 崎 | 妙高高原 |
47 | 新 庄 | 竹 野 | 直江津 |
48 | 酒 田 | 浜 坂 | 新 潟 |
49 | 横 手 | 鳥 取 | 越後湯沢 |
50 | 大 館 | 米 子 | 石 打 |
51 | 弘 前 | 出雲市 | 新 宿 |
52 | 越後湯沢 | 大 社 | 上諏訪 |
53 | 石 打 | 浜 田 | 松 本 |
54 | 長 岡 | 天橋立 | 福 井 |
55 | 関 山 | 宮 津 | 金 沢 |
56 | 戸 倉 | 若狭高浜 | 富 山 |
57 | 上 田 | 小 浜 | 軽井沢 |
58 | 小 諸 | 天王寺 | 天橋立 |
59 | 岡 谷 | 白 浜 | 香 住 |
60 | 新 宿 | 新 宮 | 竹 野 |
61 | 沼 津 | 伊勢市 | 城 崎 |
62 | 静 岡 | 紀伊勝浦 | 江 原 |
63 | 名古屋 | 天王寺 | |
64 | 米 原 | 白 浜 | |
65 | 鳥 栖 | ||
66 | 糸魚川 | ||
67 | 福 井 | ||
68 | 加賀温泉 | ||
69 | |||
70 | 臨 時 | 臨 時 |